イベントレポート | 墨の趣を架け橋に、世界をつなぐ――上海外国語大学留学生、朱屺瞻芸術館で中国画美育実践を体験
Jun 3, 2026

5月18日、第80回国際博物館の日にあわせて、上海外国語大学の留学生13名が魯迅公园内に位置する朱屺瞻芸術館を訪問した。学生たちは、「絵事後素――中国画はいかに世界をつなぐのか」をテーマとする特別イベントに参加し、筆墨と彩色の世界を通して中国画ならではの魅力を感じ取り、実際の行動を通じて2026年度国際博物館の日のテーマ「分断された世界をつなぐ博物館(Museums Uniting a Divided World)」に応えた。
本イベントは、美術館の公共教育機能を通じて、専門的な芸術資源を異文化間の美育の場へと転換し、国内外の青年の深い交流と相互理解を促進することを目的とする。
【筆墨の対話——東西美術の異同から「中西融合」へ】

イベントの初めに、中国画と西洋画の違いと共通点をテーマにした円卓対話が行われ、学生たちの大きな関心を集めた。現代水墨画家の張培成氏、朱屺瞻芸術館の馬艶副館長、そして上海外国語大学の黄健秦副教授が特別ゲストとして登壇し、筆や描法、絵具の違いを比較しながら、東西芸術がそれぞれ求める異なる美意識についてわかりやすく紹介した。



留学生たちは特に、朱屺瞻氏が求めた「東西融合」の芸術的探求に強い関心を示した。ゲストたちは、朱屺瞻氏がいかに西洋絵画の表現を中国画へ取り込んか、そして晩年に《浮想小写》を契機として始まった「耋年之変」と呼ばれる画風の大きな転換について詳しく解説した。このような古今を貫き東西を融合する芸術実践を通して、留学生たちは芸術がいかに「共通言語」として文化の壁を越え、異なる文明同士を結びつける力を持っているのかを深く理解した。
【没入型鑑賞と体験――筆墨の世界で「気韻生動」を感じる】

展示ガイドツアーでは、留学生たちは張培成氏の解説に耳を傾けながら、朱屺瞻氏の芸術世界へと足を踏み入れた。 特に、百歳を超えてなお創作された作品群や、「東西融合」を特徴とする独自の芸術表現に注目しながら、近代中国画が時代の中でどのように変化し、発展してきたのかを体感した。続いて行われた筆体験コーナーでは、イベントの盛り上がりがクライマックスを迎えた。



張培成氏の指導のもと、留学生たちは初めて筆を手に取り、中国画の小品の模写や創作に挑戦した。最初は恐る恐る筆を運んでいた学生たちも、次第に自信を持って筆を走らせるようになり、白い扇面の上には、それぞれ個性あふれる作品が少しずつ描き出された。描き終えた後、学生たちは互いに初めて描いた中国画作品を鑑賞し合いながら、張培成氏による作品コメントや、今後の絵画学習に向けたアドバイスに熱心に耳を傾けた。



筆先に春風が宿り、墨の趣が静かに広がる。巨匠の筆遣いを間近に見つめたときの敬意から、自ら筆を執って墨を落とす際の落ち着きへ。今回の没入型美育体験を通して、留学生たちはにじみや筆線の表現の中から、中国画における「余白を黒として活かす(計白当黒)」という含蓄の美を理解するとともに、その線の奥に息づく「気韻生動」の生命力を深く感じ取った。芸術に国境はなく、筆墨は人の心をつなぐ。今回のイベントは芸術館が「世界をつなぐ架け橋」として担う時代的使命を体現しただけでなく、上海外国語大学の留学生たちの心に文化交流の種を蒔いた。それは単なる芸術への巡礼ではなく、山や海を越えた文明の対話でもあった。

出典:留学上外
