マリーナ・ディナエワ（Marina Dinaeva）さん（ロシア出身）は、上海大学経済学院国際ビジネス専攻を2025年に修了した修士課程の卒業生です。上海は、彼女の夢が芽生え、自らを大きく成長させてきた場所です。

観光客から上海大学大学院生へ

　2023年1月、マリーナさんが初めて上海の地を踏んだ時、彼女はまだ一人の普通の観光客に過ぎませんでした。黄浦江のほとりに立ち、東方明珠タワーがきらめく夜景を見つめながら、彼女の胸に一つの強い願いが初めて湧き上がりました。「いつかこの街で学び、暮らしたい」。あのタワーの光は彼女の心の支えとなり、無力さを感じて挫けそうになる時も、常に初心を思い出させ、目標へ向かって歩みを続けるよう彼女を励まし続けたのです。その瞬間、彼女は「必ず上海大学へ」と心に決めました。そこには、彼女が最も情熱を注げる、そして最高水準の国際ビジネスプログラムが待っていました。これこそが、彼女を強く惹きつけてやまないものだったのです。

上海大学での日々：学び、探求、そして情熱

　2023年9月、マリーナさんは自らの努力によって優れた成績で上海大学への入学を果たし、国際ビジネス修士課程での学びをスタートさせました。上海大学での2年間は、彼女の人生にとってかけがえのない経験となり、キャンパスの隅々に大切な思い出が刻まれています。東区図書館は彼女の特にお気に入りの場所で、昼夜を問わず、そこで学び、読書に没頭し、思索にふける日々を過ごしました。ページをめくる音、窓の外を通り抜ける風、そして集中が生み出す静寂——それらすべてが「自分は好きなことをしている、居場所を見つけた」という確かな実感をもたらしました。夜になれば、友人たちとテニスコートでプレーするのが習慣となり、あの笑い声、ラケットを振る音、夏の夜風は、彼女の心に永遠に焼き付いたひとときの風景となりました。

　さらに、さまざまな学生コンテストは、彼女が継続的に自己を磨き、視野を広げる重要な舞台ともなりました。在学中、彼女は異文化間コミュニケーションと物語表現の実践に積極的に取り組み、「私が見た中国」外国人による中国ストーリー短編動画コンテストや「英語で中国ストーリーを語る」などの数々の大会に参加。卓越したパフォーマンスと確固たる基礎力が評価され、多くの栄誉に輝きました。これによって総合的な能力を鍛え上げただけでなく、実践を通じて次第に説得力のある中国ストーリーの発信者へと成長。言葉と映像を駆使して、中国と世界をつなぐ架け橋を築いています。

学術と実践の往還：限界を超える日々

　研究面では、修士課程において『ロシアのエネルギー輸出に影響を与える要因に関する実証研究』を完成させ、学術誌に『Dynamic Analysis of Global Titanium Alloys』を発表しました。2024年には中国国際大学生イノベーション大会の上海大学予選に参加し、チームとして銅賞を受賞しています。その他にも、大学や学院が主催する多彩な学術講演会、社会実践活動、企業訪問などに積極的に参加。特に経済学院が主催した「国際学生革新創業台州訪問」では、キャンパスを離れてEコマースの最前線に赴き、中国経済の生きた躍動感を体感。国際ビジネスへの理解を一段と深める、貴重な経験を得ました。

舞台と光：もうひとつの学び場

　学術研究の傍ら、彼女は舞台表現への情熱を育み、上海大学「海翼」国際学生合唱団の一員となりました。2024年上海市外国専門家迎春晩餐会でのステージ、上海市人民政府新聞弁公室と文匯報が共同制作した賀歳映像『灯如繁花』のフラッシュモブ撮影、上海大学「泮池之声」新年コンサート、上海の春国際音楽節、上海大学文学の夜、そして上海大学国際文化節の開幕式など、数多くのイベントや公演に参加。音楽が響き渡り、照明に包まれる瞬間、彼女は言葉に尽くせない幸福感に満たされます。それは単なる演技ではなく、人と人、そして文化と文化を結ぶ、生き生きとした交流の場なのです。

上海——夢が紡がれる場所

　現在、彼女は経済学院の劉奎教授の指導のもと、優秀な成績で卒業を迎え、上海でのキャリアを歩み始めようとしています。国際的な視野を持つ企業で経験を積み、マーケティングやブランドマネジメント、国際ビジネス開発などの分野で専門性と創造力を高めていくことを目指しています。同時に、今後数年のうちに、自身の創造性と起業家精神を活かしたプロジェクトを企画し、実現させたいと考えています。国際ビジネスで培った知見と、自身が育んできた芸術的センス、デザイン思考、革新的な発想を融合させ、独自のブランドやプラットフォームを創出することが彼女の大きな目標です。

　彼女にとって、キャリアとは単なる職業ではなく、成長そのものであり、新たな価値を生み出す手段です。上海には尽きることのない機会とインスピレーションが満ちており、この街で学び、挑戦し、創造を続けながら、中国と世界に対する自身の理解を、確かな行動と形ある成果へと昇華させていきたいと願っています。

　上海は、彼女にとって単なる一都市ではありません。それは精神、理念そのもの、夢と勇気、そして希望の象徴です。東方明珠タワーを仰ぎ見るたびに、彼女は夢を抱いてこの地に立った最初の日の自分を思い出します。「努力さえすれば、必ず道は開ける」——あの日、心に灯った確信を、今も胸に抱き続けている自分を。

出典：上海大学留学生事務所