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二十四節気・清明

study.edu.sh.gov.cn Apr 3, 2023

清明:[qīng míng]

「清明」の意味:

毎年4月5日ごろ、太陽黄経が15度になると、清明節気を迎える。清明は二十四節気の第五の節気。清明前後、天地が清らかで万物が清々しく明るく美しい。清明になると、陰気が衰え、万物が発し、生き生きとし、うららかな春が来る。

清明は節気であるとともに、中国の祝日の一つでもある。古の中国の祖先信仰と春季祭祀の礼儀風俗が縁起となる清明節は自然的内包と人文的内包の両方を兼ね備える。また、清明は春耕や種まきの好時節。

物候の特徴:

(*「物候」は中国語、動植物の周期的現象と気候の変化との関係のこと)

中国の古人は清明時節の十五日を三候に分けた。

一候は桐始華(きり はじめて はなさく):桐の花が咲き始める。

二候は田鼠化為鴽(でんそ けして うずらと なる):田鼠が鴽になる。

三候は虹始見(虹 はじめて あらわる):雨の後に虹が出始める。

つまり、清明になると、まずは白い桐の花が咲き、次は陰気を好む田鼠が全部地下の洞穴に入り、見えなくなり、最後は雨が晴れると、虹が見えるようになるということ。

中国では、節気である清明は文化的色彩も濃い。清明の美しさといえば、景色に見られるが、文化にも見られる。

中国の古代詩詞に清明を謳う詩句がたくさんある。例えば、よく知られる「清明の時節 雨 紛々(時は清明の時節というのに、春雨がしとしとと降りしきっている)」という詩句は春雨がしとしとと小止みなく降りつづく春日の江南を描いた。とはいえ、実は清明前後、よく大雨がふる。例えば、南宋の詞人張炎が「朝中措・清明時節雨声嘩」の冒頭で「清明の時節 雨声 嘩(時は清明の時節というのに、春雨はざあざあと降っている)」と書き、しとしとと小止みなく降りつづく春日の光景と違い、ざあざあと雨の音が立ち、江水も上げ潮になり、渡し場の砂州も水浸しになることを描いた。

では、清明時節の気候の法則からみれば、どちらのほうがただしいであろうか。実は、地域が変わると、清明時節の降水現象も変わるのである。長江川中・川下地域に絞ってみれば、「清明の時節 雨 紛々」と「清明の時節 雨声 嘩」、どちらもありうる。

気候農事:

清明になると、気温があがり、万物が発し、いきいきと生長する。

天気が暖かくなると、農作物が早く生長する時期に入り、水への需要が急増する。農事に関することわざには、「清明に雨がふれば、春の苗(小麦)がすくすくと生長」「清明前後の雨が油の如き」「清明前後の雨は郷試に合格した秀才」などがあり、いずれも雨水を望むという百姓の気持ちを体現している。

清明の頃、春耕や種まきが忙しく行われるところである。南方は、水稲の若苗を栽培するのに対して、北の方は春トウモロコシ、粟、ジャガイモ、綿花などの種まきが始まる。「清明前後、若苗を植え、種を撒き」「清明後、谷雨前、高粱も綿花も、栽培が始まり」などはこの時期の農事の特徴をまとめた上に、「もう時期だよ、ささと種まきをしよう」と言っているように農民に時期を遅れないように注意をつけることわざである。

民俗文化:

清明には、禁火(火の使用を禁じる)、墓参り、踏青、冠柳(柳を身に付ける)、鞦韆(ブランコ)遊び、凧揚げ、蹴鞠などの風俗がある。

清明の祭祀は、祖先を祭ること。孝行の道を体現し、祖先を偲び、祖先に礼を尽くし、敬いの念を示す文化伝統である。清明の踏青は、「野遊び」「春の沐浴(川に入り、身を清め)」などの古代の3月3日の上巳節の風俗を踏襲した。この時期に、麗らかな春を迎え、ところどころも活気が溢れ、遠足にいい季節である。古人は墓参りのついでに、野外で存分に遊んでいた。今は、年寄りも子どもも連れ、家族揃いで郊外へ行き、散策したり、凧揚げしたり、野生菜類を摘んだり、ブランコ遊びをしたりして、自然の美を存分に楽しむ。

参考:中国気象局、中国気象新聞網